家づくりで大切にしたいこと。

「カッコいい」でなく、「落ち着ける」家が好きです。

例えば、大きな吹抜けがある広々とした大空間だったり、柱や梁など構造材がむき出しの力強い空間だったり、生活感の全く無い、張り詰めた綺麗過ぎるコンセプチュアルな空間だったり、パッと見た時には、お~っ!という強烈なインパクトはあるのですが、そこで長い時間過ごした場合、はたして落ち着くのかなぁ・・・、居心地はいいのかなぁ・・・といつも思います。 

そういう「カッコいい」家じゃなくて、「落ち着ける」「取り立てて目立つところは無いけれど、つい長居したくなる」「ホッと出来る」、そんな家が好きです。

古くなって良くなる、エイジングを楽しめる家が好きです。

 

「新しい時の良さ」というのも、もちろんありますが、どこか自分のものになっていない、「借り物の居心地の悪さ」が付きまとうのも事実です。ある程度以上の時間が過ぎて、ようやく、ここが自分達の住まいだ、と感じられるようになった頃、時間の洗礼を受けて「味」が出てくる、そんな建物がいいなぁ、と考えて材料を選び、仕事をしています。「古びる=古美る」家を目指します。

大きな屋根で守られている家が好きです。

 

雨の多い、夏の日差しも強烈な日本の天候から建物と生活を守るという意味でも、大きな樹に守られている、というような精神的な意味でも、帰って来る人、訪ねて来る人をやさしく迎え入れるという意味でも、軒の出がしっかりとある、大きな屋根で守られている家が好きです。防水技術が進んでも、空調技術が進んでも、大きな屋根が建物の基本です。

廻りへの迷惑を最小限にとどめている家が好きです。

 

建物は出来てしまうと長い間そこに在り続けることになります。自分達が快適に生活を送れることはもちろんですが、まわりへの迷惑も出来るだけ抑えたいところです。建物の高さを低く抑える、北側いっぱいに建物を建てない、近隣に緑を提供する等、最低限のマナーが守られた家が好きです。

愛着を持って、手入れしながら使い続けられる家が好きです。

 

メンテナンス無しでいつまで経っても新しいまま、なんていう家はありません。必ずメンテナンスが必要です。メンテナンスをするためには、将来にわたってずっと手に入る材料で作ってあるべきで、最近、流行っている新しい材料とか、毎年のように品番が変わってしまう材料は避けたいところです。同じことは設備機器などにも当てはまり、生産中止、仕様変更などの理由で将来、更新ができなくなるようなものは、なるべく避けるべきです。
また、お手入れしながら大切にしていこう、という気持ちになるためには、その人が、その物に愛着を持っていることが必要です。そういう意味では、「愛着を持てる家」も目指します。